A社は、B社にソフトウェア開発を委託し、それを稼働させるためのサーバとクライアントPCを購入したところ、目的物となる納品物が、契約内容に適合しない事実を知った。
民法の契約不適合責任に関する記述として、適切なものはどれか。
ただし、A社とB社の間で契約不適合責任に関する特約は合意されていないものとする。
ア |
A社が、その方法を指定した上で目的物の修補、代替物又は不足分の引き渡しの請求を行った場合、B社は、A社が指定した方法に必ず従う必要がある。 |
イ |
A社には、契約不適合の程度に応じた目的物の修補、代替物又は不足分の引き渡し、損害賠償、契約の解除、及び履行の追完請求を行ったが履行の追完がなされない場合における代金の減額を求める権利がある。 |
ウ |
A社は、目的物の修補、代替物又は不足分の引き渡しを行う場合、成果物の引き渡しから1年以内に請求しなければならない。 |
エ |
契約不適合責任は、無過失責任に該当するので、B社の帰責事由の有無にかかわらず、A社には損害賠償請求が認められる。 |
答え イ
【解説】
ア |
A社が、その方法を指定した上で目的物の修補、代替物又は不足分の引き渡しの請求を行った場合、B社は、A社が不相当な負担を課するものでないときは、A社が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができます。(×) |
イ |
A社には、契約不適合の程度に応じた目的物の修補、代替物又は不足分の引き渡し、損害賠償、契約の解除、及び履行の追完請求を行ったが履行の追完がなされない場合における代金の減額を求める権利があります。(〇) |
ウ |
A社は、目的物の種類・品質が契約の内容に適合しない場合は1年以内に通知する必要があり、目的物の数量・権利が契約の内容に適合しない場合には期間の制限なく権利行使(追完請求・代金の減額請求・損害賠償請求・解除)できます。(×) |
エ |
契約不適合責任では、契約不適合を理由とする損害賠償はB社の無過失責任ではなくなりました。(×) |
【キーワード】
・契約不適合責任
【キーワードの解説】
- 契約不適合責任
あらかじめ目的物に対して取り決めた種類や品質、数量に関して、契約内容に適合しない引き渡しをおこなった場合につき、売主側で負担する責任のことで、以前(民法改正前)の瑕疵担保責任から改められたものになります。
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