平成22年 春期 ITパスポート 中問A

在庫管理システムの開発計画に関する次の記述を読んで、問89〜92に答えよ。

Sさんは、在庫管理システム(以下、システムという)を構築するプロジェクトに参加することになった。
システム開発計画は、プロジェクトにおける成果物及び完了基準を明確にした上で、作業分割、作業内容定義、作業順序設定、作業期間見積り、スケジュール作成の五つのステップに分けて順に実施される。

(1)  作業分割では、WBS(Work Breakdown Structure)を用いて、成果物の作成作業を細分化する。
WBSは、全体の作業を分割し、その構成要素を階層構造として整理したものである。
(2)  作業内容定義では、分割した各作業の成果物と工数を定義する。
(3)  作業順序設定では、作業間の前後関係を決定する。
(4)  作業期間見積りでは、作業の工数を要員数で割ることで、作業期間を求める。
(5)  スケジュール作成では、各作業期間を基に開始日と終了日を決定する。

Sさんは、先輩の指導の下で、図に示すWBSによるシステムの作業分割を実施した。


図 WBSによるシステムの作業分割


[マネジメント]
 問89  Sさんは、作業分割の図において、システム要件定義などのシステム開発全体にかかわるものをサブシステム1、2、…と同じ階層に記載するようにと、先輩から指示を受けた。
図のシステム要件定義と同じ階層に記載すべき作業として、適切なものはどれか。
 ア  システム監査
 イ  システム統合
 ウ  ソフトウェア結合
 エ  ソフトウェコード作成及びテスト

[マネジメント]
 問90  作業分割の図では、最初の段階でシステム開八作業全体にかかわるものとサブシステムに着目して分割している。
Sさんが図のサブシステムごとに、次の段階で行った作業分割の説明として、適切なものはどれか。
 ア  開発の工程別に作業分割した。
 イ  システム要件定義の項目ごとに作業分割した。
 ウ  ソフトウェアごとに作業分割した。
 エ  モジュールごとに作業分割した。

[マネジメント]
 問91  作業内容定義では、作業分割で作成したWBSを基に、担当、工数を加えた表を作成した。
次の表はその一部を示したものである。
画面設計での作業5は作業間には次の図で示す順序関係があるとき、画面設計のクリティカルパスの作業日数はどれか。
図では、作業の流れを矢印で、作業名を矢印の上又は下に示している。
作業1 作業2 作業3 作業4 作業5 成果物 担当 工数
(人日)
サブシステム1 ソフトウェア詳細設計 ソフトウェアインタフェース設計 画面設計 画面一覧 画面一覧表 田中 4
画面フロー 画面フロー図 田中 6
画面レイアウト 画面レイアウト図 鈴木 3
画面入出力項目 画面入出力項目定義書 田中 4
帳票設計 帳票一覧 帳票一覧表 佐藤 5
帳票レイアウト 帳票レイアウト図 佐藤
田中
10
注 同じ名前の担当はいない。

 ア  5  イ  9  ウ  10  エ  15

[マネジメント]
 問92  Sさんは、作業期間見積りを行い、作業期間を基に作業の開始日と終了日を決定し、スケジュール作成を行った。
次の表はスケジュールの一部を示したものである。
スケジュールを見た先輩から誤りを指摘された。
Sさんが受けた指摘として、適切なものはどれか。
次の図は6月のカレンダであり、土日は作業を行わないものとする。
作業1 作業2 作業3 作業4 作業5 成果物 担当 工数
(人日)
作業
開始日 終了日
サブシステム1 ソフトウェア詳細設計 ソフトウェアインタフェース設計 画面設計 画面一覧 画面一覧表 田中 4 6月3日
画面フロー 画面フロー図 田中 6 6月9日
画面レイアウト 画面レイアウト図 鈴木 3 6月9日
画面入出力項目 画面入出力項目定義書 田中 4 6月12日
帳票設計 帳票一覧 帳票一覧表 佐藤 5 6月6日
帳票レイアウト 帳票レイアウト図 佐藤
田中
10 6月13日 6月19日
注 同じ名前の担当はいない。網掛けの部分は、表示していない。
6月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

 ア  帳票レイアウトの工数は10なので、終了日は6月26日である。
 イ  帳票レイアウトの作業は、田中さんの前作業が重なるので終了日を6月19日に設定できない。
 ウ  帳票レイアウトの作業は、担当者が2名割り当てられているので、終了日を6月18日に設定することができる。
 エ  帳票レイアウトの作業は、他の作業と比較して工数が多いので、作業期間を長めに見積もる必要がある。


答え 問89 イ 問90 ア 問91 ウ 問92 イ


解説

 問89
 ア  システム監査は、システム全体が対象なので、サブシステムの一つ上の階層になります。
 イ  システム統合は、サブシステム1、2、…の結合なので、サブシステムと同じ階層になります。
 ウ  ソフトウェア結合は、サブシステム内のソフトウェアの結合なので、サブシステムの一つ下の階層になります。
 エ  ソフトウェコード作成及びテストは、各ソフトウェア内の作業項目なので、サブシステムの二つ下の階層になります。
 問90  “ソフトウェア方式設計”、“ソフトウェア詳細設計”というのはソフトウェア開発の工程ごとの作業分割になります。
 問91  画面一覧の工数が4日、画面フローの工数が6日、画面レイアウトが3日、画面入出力項目が2日なので、最も日数の長い作業項目の経路(クリティカルパス)は、画面一覧→画面フローの10日になります。
 問92  担当者“田中”の割り当てを見ると
  • 画面一覧が6月3日から4日間…6月3日〜6月6日
  • 画面フローが6月9日から6日間…6月9日〜6月16日
  • 帳票レイアウトが6月13日から(10日間を2人でするので)5日間…6月13日〜6月19日
になり、画面フローと帳票レイアウトの作業予定が重なっている。


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