平成23年 春期 ITパスポート 中問A

システム開発の契約に関する次の記述を読んで、問89〜92に答えよ。

日用雑貨の製造を行うW社では、業務拡大に向けて販売管理のためのシステム(以下、販売管理システムという)構築を予定している。
システム構築のメンバーであるG君は、上司の指導の下にRFPを作成して、X社から提案を受けた。
RFPの概要とX社からの提案は、次のとおりである。
なお、W社にとって重要な顧客情報の扱いについては、契約時に必要な処置を講じることにした。

[RFPの概要]
システムの目的: 製造した商品に関して、顧客に対する受注から出荷までの管理を行う。
システムの要件: 商品数は、当初は2,000品目で、最大5,000品目を管理する。
顧客数は、当初は500社で、最大2,000社を管理する。
1日の受注件数は、最大200件とする。
弊社の規模と業務に合った適切なソフトウェアパッケージの利用を前提とする。
納期: 発注から6か月以内とする。

[X社からの提案]
導入費用: 700万円
前提条件: Y社の販売管理ソフトウェアパッケージとZ社のデータベースソフトを利用し、不足する機能の開発を行います。
サーバはCPUが一つのものを2台導入します。
1台は本番機とし、もう1台は、本番機に障害が発生した場合に稼働させるコールドスタンパイ機とします。
契約条件: 要件定義からシステムテストまでの一括請負契約とします。
弊社の開発物に関する破庇(かし)担保期間は、検収後6か月とします。
導入期間: 4か月
保守: 保守契約を結ぶことによって、導入したシステムに関する問合せ、障害の切分けの対応を行います。

[ストラテジ]
 問89  W社が作成したRFPの概要に示した内容には不足がある。
RFPの内容として追記すべき事項はどれか。
 ア  去年のW社の業績
 イ  システムで取り扱う商品と顧客データの件数
 ウ  システムの性能に関する要件
 エ  商品の製造に使用する機械の情報

[ストラテジ]
 問90  データベースソフトのライセンスは、稼働しているサーバのCPUの数で決まり、販売管理ソフトウェアパッケージのライセンスは、管理される商品数と顧客数の最大数の組合せで決まる。
W社が購入すべきライセンスの組合せとして、適切なものはどれか。
データベースソフト 販売管理ソフトウェアパッケージ
CPUの数 商品数(最大) 顧客数(最大)
1 2,000 500
2 2,000 500
1 5,000 2,000
2 5,000 2,000

[ストラテジ]
 問91  販売管理システムの開発で顧客情報をX社に直接利用させるために、W社が行っておくべきことはどれか。
 ア  X社が顧客情報を早く扱えるように、開発の一括請負契約をX社と早急に結ぶ。
 イ  開発がスムーズに行えるように、顧客情報の詳細データを開発の正式契約前にX社へ渡す。
 ウ  顧客情報がX社によって外部に漏れたり、不適切に取り扱われたりしないように、X社と守秘義務契約を結ぶ。
 エ  顧客数に対応した販売管理ソフトウェアパッケージのライセンス契約をY社と結ぶ。

[マネジメント]
 問92  W社はX社の納品したシステムを検収すると同時に、X社と保守契約を結んだ。
この翌月に販売管理システムで障害が発生した場合、W社として行うべきことはどれか。
 ア  W社でトラブルの原因を調査し、その原因がX社の開発したシステムのパグであってもW社で修正を行う。
 イ  W社でトラブルの原因を調査し、その原因がX社の開発したシステムのパグであれば、X社へ有償で修正を依頼する。
 ウ  X社にトラブルの原因の調査を依頼し、その原因がX社の開発したシステムのパグであれば、無償で修正してもらう。
 エ  X社にトラブルの原因の調査を依頼し、その原因がX社の開発したシステムのパグであれば、有償で修正してもらう。


答え 問89 ウ 問90 ウ 問91 ウ 問92 ウ


解説

 問89
 ア  W社の昨年の実績はシステムの内容に関係ないので記載する必要はありません。
 イ  商品と顧客のデータ数は既に記載されています。
 ウ  システムの性能に関する要件はRFPに記載するべきです。
 エ  商品の製造機械は販売管理システムに関係ないので記載する必要はありません。
 問90  X社からの提案でデータベース用のサーバはCPUが一つのものを2台用意するが、1台はコールドスタンバイなので2台同時に稼働することがないため、必要なライセンスのCPU数は1になる。
また、RFPから商品数は最大5,000、顧客数は最大2,000を管理できるような性能が必要である。
 問91  開発ベンダーであるX社に顧客情報を扱わせるときは、X社から顧客情報が漏えいしないように、W社はX社と守秘義務契約を結ぶ必要があります。
守秘義務契約を結ぶことでX社から顧客情報が漏えいするリスクを下げることができます。
 問92  保守契約を結んでいなくても、契約内容に「瑕疵担保責任期間は、検収後6か月」とあるので、検収の翌月は瑕疵担保責任期間なので、トラブル発生時に無償でX社に原因調査を行わせることができ、また、X社の開発したシステムのバグであれば無償で修正をしてもらうことが可能です。


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