平成20年 秋期 ソフトウェア開発技術者 午前 問32

ページング方式の仮想記憶において、主記憶への1回のアクセス時間が300ナノ秒で、主記憶アクセス100万回に1回の割合でページフォールトが発生し、ページフォールト1回当たり200ミリ秒のオーバヘッドを伴うコンピュータがある。
主記憶の平均アクセス時間を短縮させる改善策を、効果の高い順に並べたものはどれか。

[改善策]
a  主記憶の1回あたりのアクセス時間はそのままで、ページフォールト発生時の1回当たりのオーバヘッド時間を1/5に短縮する。
b  主記憶の1回のアクセス時間を1/4に短縮する。
ただし、ページフォールトの発生率は1.2倍となる。
c  主記憶の1回のアクセス時間を1/3に短縮する。
この場合、ページフォールトの発生率は変化しない。

 ア  a、b、c  イ  a、c、b  ウ  b、a、c  エ  c、b、a


答え エ


解説

  • 主記憶への1回のアクセス時間:Tm
  • ページフォールトの発生確率:r
  • ページフォールト発生時のオーバヘッド時間:Tp
とすると、実効メモリアクセス時間を求める式は
 Tm+Tp×r
であり、問題のコンピュータでは
 300ナノ秒+200ミリ秒÷100万=300+200=500ナノ秒
になる。
a  オーバヘッド時間が1/5になるので、実効アクセス時間は
300ナノ秒+(200ミリ秒×1/5)÷100万=300+40=340ナノ秒
である。
b  主記憶のアクセス時間が1/4に、ページフォールトの発生率が1.2倍になるので、実効アクセス時間は
(300ナノ秒×1/4)+(200ミリ秒×1.2)÷100万=75+240=315ナノ秒
である。
c  主記憶のアクセス時間が1/3になるので、実効アクセス時間は
(300ナノ秒×1/3)+200ミリ秒÷100万=100+200=300ナノ秒
である。
したがって、効果の高い順に並べるとc、b、a(エ)である。


キーワード
・仮想記憶
・ページング方式

キーワードの解説
  • 仮想記憶
    メモリ管理の方法の一つで、不連続なメモリ領域をソフトウェアから見て連続した領域になる。
    仮想記憶はコンピュータ上に実装されている主記憶よりも大きな記憶領域を仮想的に提供する仕組みであり、仮想記憶を利用することで、メモリ空間の一部をハードディスク装置等の大容量外部記憶に待避でき、実際のメモリ量以上のメモリ空間が利用できるようになる。
  • ページング方式
    仮想記憶でメモリ上にあるデータとハードディスクなどの外部記憶装置に待避したデータの入れ替えを、固定長のサイズのページで入れ替え(管理)する方法である。
    可変長のサイズで管理する場合、セグメント方式という。

もっと、「ページング方式」について調べてみよう。

戻る 一覧へ 次へ