H28 技術士(情報工学)ソフトウェア工学 III-1:IoT(Internet of Things)


(1)IoTの具体的な例
IoTの具体的な例と影響をモビリティとエネルギー分野について述べる。
モビリティ分野ではIoTを組み合わせることでさまざまなことが行えるようになる。まず、IoTで個々の自動車をインターネットに接続し、位置情報を得ることで道路の混雑状況などを把握することが可能で、ナビゲーションシステムのルート案内で混雑した道路への自動車の流入を抑えたり、信号のタイミングをダイナミックに変更し、混雑の緩和を促進することができる。また、自動運転では周囲の自動車とインタフェースを行うことで、飛び出しなどとっさの事象の情報を共有し事故を回避したりすることが可能になる。
エネルギーの分野では、スマートメーターのように各家庭や企業単位の消費電力ではなく、電化製品レベルでの消費電力を把握することで、発電量を適正にすることができたり、消費電力が多い時間に電力を多く消費する電化製品を制御して電力消費が増えることを抑制することができるようになる。

(2)IoTの課題と取組み
モビリティ分野ではIoTとの組み合わせを行うにあたり、自動車個々の情報を取得し、分析しそれをさらに交通管理システムや個々の自動車に伝える必要がある。それには、各道路に移動中の自動車と通信を行う仕組みが必要であり、これらインフラの整備を道路管理者の国や自治体とIoTにより恩恵を受けられる個人や企業と費用負担などを整合しなくてはいけない。また、個々の自動車の位置情報を集中的に把握することが可能になるので、こういった個人情報が目的外に使われることがないようにしたり、システムが悪用されないようなセキュリティの確保が必要である。
エネルギー分野では、各家庭や企業の消費電力を把握するだけでなく、一歩踏み込んで電化製品の消費電力を電力会社から制御することも可能になるため、電力会社と消費者の間で制御の内容やその条件などについて十分な議論、説明を行う必要がある。特に冷暖房のように電力会社の都合のみで制御されると、熱中症などになったりといった危険もあるため、消費電力だけでなく外気温、室温、湿度などさまざまなデータから制御を行うような仕組みを構築しないといけない。

(3)人材育成
IoTを活用するにはビックデータ、個人情報を扱うため、その扱いには高い倫理観が求められ、人材育成も倫理面に気をつけたものにしないといけない。システムが保有する個人情報が一度でも不正な扱いをされ、それが見つかった場合、システムとして個人情報を扱うこと自体が難しくなり、利用者にとって有効なシステムであっても、活用することが難しくなってしまう。そのためにも、倫理面での育成を重視し、不正が発生した場合の影響度なども説明する必要がある。
ビッグデータ、個人情報については、情報セキュリティ面での人材育成も必要となる。IoTにより取得したこれら情報は悪用することが可能であり、クラッカーなどから狙われることが考えられるため、システムを開発、運用するには情報セキュリティの人材を活用し対策を行う必要があり、情報セキュリティの専門家の育成も必要になる。情報セキュリティの人材育成は常に攻撃者の手法が変化し、新たな脅威が発生するため、過去に行った対策についての教育だけでなく、攻撃者の思考を予測し対策を行えるような創造力のある人材を育成する必要がある。


[Intermission]
最近、流行のIoTです。読み返すととりあえず指定された字数を埋めたといった内容になってしまいました。
この問題はテーマが大きすぎて具体的な記述が難しいと思います。
どういった解答なら合格になるのかなぁ…。



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