平成25年 秋期 ITパスポート 中問A

商品開発プロジェクトに関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。

N社は、携帯情報端末用アプリケーションソフトウェア(以下、携帯アプリという)の商品開発プロジェクトを、4月1日に社外秘で立ち上げた。
携帯アプリの商品開発プロジェクトは、マーケティングを自社で、ソフトウェア開発を外部調達で行う。

[7月1日までのプロジェクトの経緯]
(1)  N社の体制:4月のプロジェクト立上げ時の構成員は、プロジェクトマネージャ1名とプロジェクトメンバー3名であったが、6月からはAさんが参加し総勢5名になった。
(2)  ソフトウェア開発:B社及びC社と守秘義務契約を締結後、この2社に見積書を提出してもらい、6月中旬にB社と請負契約を締結した。
(3)  プロジェクト期間短縮:プロジェクト期間は当初7か月の計画で開始したが、競合他社が類似商品を開発する動きがあることから、6月下旬に全体で1か月プロジェクト期間を短縮することを検討し実施した。
前提条件は、次の2項目とした。
  • 商品仕様と請負業務範囲は変更しない。
  • 商品発表は、当初ソフトウェア開発の完了時に行うこととしていたが、ソフトウェア開発完了の0.5か月前に前倒しする。

[契約変更と工程管理]
プロジェクト期間短縮をB社と協議したところ、次の回答があった。
 “ソフトウェア開発工程の作業に要員を追加すれば、作業の完成を早めることが可能である。
 要員追加に伴い一時生産性が低下し、開発工数が増加するので、そのコスト増分が認められれば対応する。
 バグ増加などのリスクは少ない。”
N社とB杜は、この内容で合意し、請負契約の変更契約を6月末に締結した。
図1はプロジェクト期間を1か月短縮した変更計画を含むガントチャートである。
N社は、7月1日からこのガントチャートの変更計画に従って工程管理を開始した。


図1 N社のガントチャート

[マネジメント]
 問85  N社内のプロジェクトは、構成員全員が相互にコミュニケーションをとりながら進めており、構成員がそれぞれ1対1で情報の伝達を行う必要がある。
この1対1で情報の伝達を行う経路のことを、コミュニケーションチャネルという。
Aさんが参加する前のコミュニケーションチャネルの総数は6であった。
Aさんが参加した6月以降の、コミュニケーションチャネルの総数として、正しいものはどれか。
 ア  7
 イ  9
 ウ  10
 エ  15

[ストラテジ]
 問86  N社が、見積依頼先のB社及びC社と守秘義務契約を締結した理由として、適切なものはどれか。
 ア  N社と契約した業務を、外部調達先が再委託することを禁止するため
 イ  外部調達先の従業員に、N社プロジェクトメンバーからの指揮命令を確実に守らせるため
 ウ  ソフトウェアに関するN社の著作権を守るため
 エ  見積書作成のためにB社、C杜に与える情報が、いずれかを通じて外部に漏れるのを防止するため

[ストラテジ]
 問87  N社とB社は、ソフトウェア開発の期間短縮を実現するために、締結している請負契約の変更に合意し、6月末に請負契約の変更契約を締結した。
このとき、最初の請負契約から変更になった項目の組合せはどれか。
 @  契約金額
 A  商品仕様
 B  納期
 C  納入物
 ア  @とA
 イ  @とB
 ウ  AとC
 エ  BとC

[マネジメント]
 問88  AN社は、7月1日から図1のガントチャートの変更計画に従って工程管理を開始した。
この変更計画で、プロジェクト期間を全体で1か月短縮することを可能にする対策の説明として、適切なものはどれか。
 ア  B社のソフトウェア開発作業を0.5か月短縮し、受入試験・検収を0.5か月早める。
 イ  B社のソフトウェア開発作業を0.5か月短縮し、受入試験・検収を0.5か月早める。
かつ、流通計画・プロモーション業務の開始を前倒し、B社のソフトウェア開発作業と0.5か月並行作業を行う。
 ウ  B社のソフトウェア開発作業を1か月短縮する。
 エ  流通計画・プロモーション業務の開始を前倒し、B社のソフトウェア開発作業と1か月並行して作業を行う。


答え
 問85 ウ 問86 エ
 問87 イ 問88 イ


解説

 問85  Aさんが参加し6月以降のプロジェクトの構成員が5名になったため、それぞれが相互に情報の伝達を行うためにの経路は
 5C2 = (5×4)÷2 = 10
(ウ)になります。
 問86  N社の商品開発プロジェクトは“社外秘”であるため、見積り作成にために提供した情報が委託先で機密情報として適切に扱われることを保証するため(外部に漏えいすることを防止するため)、守秘義務契約を締結します。
 問87
@  「コスト増分が認められれば対応する」という記述があるので、当初の契約金額から変更されています。
A  変更に際し「商品仕様は変更しない」とあるので、変更はありません。
B  ガントチャートを見ると納期は以前より0.5カ月短縮されています。
C  変更に際し「請負業務範囲は変更しない」とあるので、変更はありません。
 問88
 図1のガントチャートを見ると、ソフトウェア開発作業の短縮のほかに、流通計画・プロモーション業務の前倒しを行っています。
 図1のガントチャートを見ると、ソフトウェア開発作業を短縮して、受入試験・検収の完了を9月末にしています。
さらに流通計画・プロモーション業務を1ヶ月前倒しして、ソフトウェア開発作業と並行させ1か月の納期短縮を行っています。
 図1のガントチャートを見ると、ソフトウェア開発作業の短縮期間は0.5カ月です。
 図1のガントチャートを見ると、ソフトウェア開発作業と流通計画・プロモーション業務の並行作業期間は0.5カ月です。


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