平成25年 秋期 ITパスポート 中問B
担当者の業務改善に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。
ワイン販売業のA社は、営業担当者による法人顧客への販売と直営店による個人顧客への販売を行っている。
顧客の幅広いニーズに対応し売上げを拡大するために、A社は、新しい販売チャネルとしてインターネットによる販売(以下、Web販売という)を3か月前に開始した。
Web販売の開始以降、営業推進課の事務担当者(以下、事務担当者という)の残業が増えており、業務改善が必要な状況になっている。
営業企画課の入社2年目のMさんは、業務改善のための企画書をまとめるように上司から指示を受けた。
Mさんは、原因調査のために事務担当者にインタビューを行った。
また、このインタビュー後に関係者へ追加インタビューも行った。
[業務改善の企画書作成に関する上司からの指示]
(1) |
原因調査は、事実を中心に調査し、論理的に整理する。 |
(2) |
改善策は、適切な観点に従って複数案作成する。 |
(3) |
改善策は、“効果の大きさ”、“費用の小ささ”、“実行のしやすさ”三つの観点から評価し、各観点の評価点に重みを掛けて合計した総和で総合評価する。
評価の重み付けは、効果を重視し次のとおりとする。
効果の大きさ:費用の小ささ:実行のしやすさ = 4:2:1 |
|
[事務担当者へのインタビュー結果メモ]
(1) |
Web販売に関わる顧客のクレームが平均5件/日発生している。
顧客のクレーム窓口を担当している事務担当者が、毎日残業してクレームに対応している。
Web販売前は、顧客のクレームも事務担当者の残業もなかった。 |
(2) |
顧客のクレームは、注文した商品と違うという誤発送が全件数の80%を占めている。
残り20%は、指定日時に商品が届かないという納期遅れや商品破損など多様である。 |
|
[関係者への追加インタビュー結果メモ]
Web販売では、商品紹介のページで商品ごとに数枚の写真を掲載している。
クレームが発生した商品では掲載されている写真の一部が違っていて、注文した商品と違うという誤発送の原因となっていた。
営業企画課の商品担当者が写真と説明文を登録し、登録の都度目視でチェックしているが、ワインは商品名が非常に複雑なので、掲載する写真を間違えやすい。
[ストラテジ]
問89 |
Mさんが担当することになった“事務担当者の残業増加”に該当する損益計算書の勘定科目の分類として、適切なものはどれか。
ア |
売上原価 |
イ |
営業外費用 |
ウ |
特別損失 |
エ |
販売費及び一般管理費 |
|
|
[ストラテジ]
問90 |
Mさんは、改善策を検討する前に[業務改善の企画書作成に関する上司からの指示]の(1)に基づいて、発生している問題とその原因との関係を論理的に整理した。
発生している問題とその原因との関係を[事務担当者へのインタビュー結果メモ]から整理したものとして、適切なものはどれか。
なお、(a)→(b)という記述は、(a)が原因となって(b)という問題が発生したという関係を表している。 |
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ア |
クレームの発生→誤発送の発生→残業の増加 |
イ |
誤発送の発生→クレームの発生→残業の増加 |
ウ |
誤発送の発生→残業の増加→クレームの発生 |
エ |
残業の増加→クレームの発生→誤発送の発生 |
|
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[ストラテジ]
問91 |
Mさんは、[業務改善の企画書作成に関する上司からの指示]の(2)に基づいて、業務改善の観点を廃止(Eliminate)、統合(Combine)、置換え(Rearrange)、簡素化(Simplify)とし、改善のためのアイデアを複数作成した。
[関係者への追加インタビュー結果メモ]にある“掲載されている写真が違っている”に対して、簡素化の観点から立案されたアイデアとして、最も適切なものはどれか。 |
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ア |
写真の掲載をやめる。 |
イ |
商品ごとの掲載写真の数を絞り込む。 |
ウ |
登録内容をシステムでチェックする。 |
エ |
登録内容をまとめてベテラン担当者が目視でチェックする。 |
|
|
[ストラテジ]
問92 |
Mさんは複数のアイデアを、評価軸ごとに5点満点で評価した。
関係者間で検討を重ねた最終評価結果が表1のとき、[業務改善の企画書作成に関する上司からの指示]の(3)に基づいて最も高い評価を得る案はどれか。 |
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表1 最終評価結果
案 |
効果1) |
費用 |
実行 |
案1:写真の掲載をやめる |
1 |
5 |
5 |
案2:商品ごとの掲載写真を絞り込む |
2 |
5 |
3 |
案3:登録内容をシステムでチェックする |
5 |
1 |
1 |
案4:登録内容をまとめてベテラン担当者が目視チェックする |
4 |
4 |
2 |
注1) 効果は、クレームの発生を抑える効果とWeb販売を拡大する効果の両面で評価した。
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[評価基準]
効果(効果の大きさ):5(大きい)〜1(小さい)
費用(費用の小ささ):5(小さい)〜1(大きい)
実行(実行のしやすさ):5(容易)〜1(困難) |
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答え
問89 エ 問90 イ
問91 イ 問92 エ
【解説】
問89 |
“残業の増加”により発生する費用の多くは人件費で、この残業は営業活動のための作業になるので、費用としては「販売費及び一般管理費」(エ)になります。 |
問90 |
[事務担当者へのインタビュー結果メモ]の(1)からクレームが発生し、その対応のため残業を行っていて、(2)からクレームの原因の大多数は誤発送が原因なので、整理すると
誤発送の発生→クレームの発生→残業の増加
(イ)になります。 |
問91 |
ア |
この対策は廃止になります。 |
イ |
この対策は簡素化になります。 |
ウ |
この対策は置換えになります。 |
エ |
この対策は統合になります。 |
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問92 |
各案を『効果の大きさ:費用の小ささ:実行のしやすさ = 4:2:1』で評価すると
案1 |
1×4 + 5×2 + 5×1 = 19 |
案2 |
2×4 + 5×2 + 3×1 = 21 |
案3 |
5×4 + 1×2 + 1×1 = 23 |
案4 |
4×4 + 4×2 + 2×1 = 26 |
になしり、総合評価が最も高いのは案4(エ)です。 |
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