交通費精算業務の改善に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。
広告代理店のA社では、申請者が経理部に回付した交通費精算伝票(以下、伝票という)を使って、顧客訪問時に発生した交通費の精算業務を行っている。
[現在の交通費精算業務の流れ]
(1) |
申請者は、伝票に申請者名、社員番号、経費科目、顧客番号、利用日、利用区間、金額及び合計金額を記入する。
押印後、事務担当者に回付する。 |
(2) |
事務担当者は、申請内容を精査し、誤りがなければ伝票を承認者に回付する。誤りがあれば、伝票を申請者に差し戻す。 |
(3) |
承認者は、承認又は否認の決裁を行う。内容が適切であった場合には承認して、事務担当者に回付する。
内容が適切でなければ否認して、申請者に差し戻す。 |
(4) |
(2)又は(3)で差し戻された場合、申請者は伝票を修正し、再度事務担当者に回付する。
事務担当者は、承認者から回付された当日分の承認済み伝票を取りまとめ、伝票番号を採番し、経理部に回付する。 |
(5) |
事務担当者は、承認者から回付された当日分の承認済み伝票を取りまとめ、伝票番号を採番し、経理部に回付する。 |
(6) |
経理担当者は、事務担当者から回付されてきた承認済み伝票の支払処理を行う。 |
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交通費精算を効率よく行うために、データベースを活用して、次に示す機能要件の交通費精算システム(以下、精算システムという)を構築することにした。
[精算システムの機能要件の一部]
(1) |
社員番号でログオンする。社員番号によって、社員表から申請者名を抽出し、申請画面の共通項目として設定する。 |
(2) |
申請画面の明細として、顧客番号、利用日、利用区間と金額を入力する。
1回の申請で複数の顧客訪問に対する明細が入力できる。
また、合計金額の算出、経費科目の設定及び伝票番号の自動採番を行う。
ここで経費科目として、交通費を自動設定する。 |
(3) |
申請後、事務担当者が精査を行い、自動的に承認者に通知が行く。
承認者は決裁画面で承認か否認かを選択する。 |
(4) |
支払画面で承認済み申請を社員ごとに集計し、支払金額を算出する。 |
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[ストラテジ]
問97 |
交通費精算業務の流れを示す図を作成した。
流れ図中のa〜cに入れる字句の適切な組合せはどれか。 |
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注記 網掛けの部分は、表示してしない。 |
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a |
b |
c |
ア |
採番 |
決済 |
修正 |
イ |
修正 |
決済 |
採番 |
ウ |
精査 |
決済 |
採番 |
エ |
精査 |
採番 |
修正 |
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[ストラテジ]
問98 |
精算システムを導入しても、事務担当者が精査する現在の申請内容のうち、精査を廃止できないものはどれか。 |
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ア |
経費科目 |
イ |
合計金額 |
ウ |
申請者名と社員番号 |
エ |
明細の利用区間に対する金額 |
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[テクノロジ]
問99 |
精算システムのデータベースを使って、図1に示す顧客別社員別交通費実績表(以下、実績表という)を作成することにした。
実績表を作成する手順として、dに入れる適切なものはどれか。
ここで、実績表に出力する伝票は、申請日が前月であり、かつ、承認区分が“承認”のものとする。
また、精算システムで利用される表は図2のとおりである。 |
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[実績表の作成手順]
(1) |
精算表から、申請日が前月かつ承認区分が“承認”のデータを抽出する。 |
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(4) |
(3)の表と社員表と顧客表を結合して、顧客名と社員名を取得する。
顧客番号 |
顧客名 |
社員番号 |
社員名 |
金額 |
000100 |
B商事 |
2005123 |
田中太郎 |
2,500 |
000100 |
B商事 |
2006211 |
鈴木太郎 |
4,300 |
図1 顧客別社員別交通費実績表の例
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精算表
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明細表
伝票番号 |
明細番号 |
顧客番号 |
利用日 |
利用区間 |
金額 |
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社員表
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顧客表
注記 主キーは教示していない。 |
図2 生産システムで利用される表 |
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ア |
(2) (1)の表と明細表を伝票番号で結合する。
(3) (2)の表から、同一の顧客番号と社員番号の金額の合計を求め、顧客番号、社員番号、合計した金額の表を作成する。 |
イ |
(2) (1)の表と明細表を伝票番号で結合する。
(3) (2)の表から、同一の顧客番号の金額の合計を求め、顧客番号、合計した金額の表を作成する。 |
ウ |
(2) (1)の表と明細表を伝票番号で結合する。
(3) (2)の表から、同一の社員番号の金額の合計を求め、社員番号、合計した金額の表を作成する。 |
エ |
(2) 明細表から、同一の顧客番号と社員番号の金額の合計を求め、顧客番号、社員番号、合計した金額の表を作成する。
(3) (2)の表と(1)の表を伝票番号で結合する。 |
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[ストラテジ]
問100 |
精算システムの導入前と導入後について、各担当者の作業時間をサンプリングしたところ、次のような結果となった。
この結果に基づいて、A社の1か月当たりの全体の作業短縮時間を求めると何時間になるか。
ここで、A社の1か月の営業日は20日とし、A社の1日の平均申請回数は10回とする。 |
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[サンプリングの結果]
(1) |
申請者は、1回の申請で12分掛かっていたものが3分に短縮された。 |
(2) |
事務担当者全体では、1日の交通費精算業務に関わる作業が、48分から16分に短縮された。 |
(3) |
承認者は、1回の申請での承認が72秒から12秒に短縮された。 |
(4) |
経理担当者全体では、1か月の交通費精算業務に関わる作業が、13時間から1時間に短縮された。 |
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答え 問97 ウ 問98 エ 問99 ア 問100 ウ
【解説】
問97 |
事務担当者が申請された伝票に対し最初に行うのは内容の“精査”、承認者が伝票に行うのは“決済”で、決済された伝票に事務担当者が行うのは“採番”です。
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問98 |
申請には利用区間の情報はありますが、利用した交通機関が記載されていないので明細の利用区間に対する金額(エ)が正しいかはわかりません。 |
問99 |
求めるのは承認区分が“承認”のものなので、精算賞から承認区分が“承認”のものを抽出し、その抽出した表の伝票番号の情報を明細表から京都合して取り出し、顧客番号と社員番号が同じものをまと目るので以下のようになります。
(2) (1)の表と明細表を伝票番号で結合する。
(3) (2)の表から、同一の顧客番号と社員番号の金額の合計を求め、顧客番号、社員番号、合計した金額の表を作成する。 |
問100 |
A社の1か月あたりの申請件数は
10件/日×20日/月 = 200件
で、1件の申請についての時間短縮は、申請者が9分(= 12分 - 3分)、承認者が1分(= 72秒 - 12秒)なので、1か月では、
200件×( 9分 + 1分 ) = 2,000分
であり、事務担当者の時間短縮は1日当たり32分(= 48分 - 16分)なので
20日×32分 = 640分
であり、経理担当者はの時間短縮は1か月12時間(= 13時間 - 1時間)であるので、合計では
2,000分 + 640分 + 12時間 = 56時間
(ウ)である。 |
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