平成26年 春期 ITパスポート 中問A

売上増加と費用削減を目的とした施策の検討に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。

M社は、テレビ番組で商品を紹介し、電話で注文受付を行う通信販売の会社である。
M社は、一部地域を除き、東日本エリアと西日本エリア向けに別々のテレビ番組を放送し、地域に関連した商品を紹介して、東西それぞれの電話受付センタで注文受付を行っている。
M社では来年度の施策として、売上増加を目的に、全国ネットのテレビ番組に変更して新たに数量限定の商品を特別価格で提供する特売コーナを設けることと、運用コスト削減を目的に、電話受付センタを1か所に集約することを計画している。
M社の企画部門のYさんは、運用管理部門から電話受付センタの運用データを、販売部門から商品情報をそれぞれ入手し、M社で計画している施策について、実施した場合の効果を[効果予測する項目]に従って検討するように上司から指示された。
また、入手する運用データ及び商品情報は社外秘の情報であり、M社の社外秘の情報の取扱いを定めた[データ管理要領]に従って取り扱うように指示された。

[効果予測する項目]
来年度の施策による効果を、次の項目について試算する。
 @  電話受付センタを集約することで削減可能なオペレーター数と削減費用
 A  特売コーナの新設で増加する利益

なお、来年度の施策によって1日の平均電話受付件数は、現在の東西の両電話受付センタで受け付けている件数の合計の5%増になるものとする。

[データ管理要領]
データを受領した場合、データの格納された媒体の種類、媒体の個数、受領日、使用目的、使用期間、保管方法、廃棄・返却予定日をデータ管理簿に記載し、後日、受領したデータの取扱内容を追跡可能にすること。

[テクノロジ]
 問85  運用管理部門、販売部門から受領したデータを[データ管理要領]に沿って取り扱うとき、データの取扱いに関する記述として、適切でないものはどれか。
 ア  同じ内容のデータをCD-RとUSBメモリの2種類の媒体で受領した。
データ管理簿には2種類の媒体を受領したことを記録した。
 イ  受領したデータでは想定した使用目的を果たすことができないことが分かったので返却した。
データを使用する前だったので受領したことをデータ管理簿に記録しなかった。
 ウ  受領したデータを、データ管理簿に記載した使用目的以外の目的に変更して使用することになったので、一旦データを返却し、再度同じデータを受領してデータ管理簿に記録した。
 エ  データを追加で取得依頼したが、不要となったので受領前に依頼を取り消し、データ管理簿に記録しなかった。

[テクノロジ]
 問86  Yさんは、電話受付センタにおける時間別の電話受付件数と時間別に必要なオペレーター数の関係について、現状から施策実施後の試算値を求めるために、図1のワークシートを作成した。
セルI4〜I15には[受付状況]を基に施策実施後の受付件数によってオペレーター数を求めるための計算式を入れてある。
図1のaに表示される値はどれか。
ここで、オペレーター数は、電話を受け付けるのに必要な時間別の要員数である。
[受付状況]
 (1)  現状の時間別の受付件数は、過去1年間の平均である。
 (2)  施策実施後の時間別の受付件数及びオペレーター数は、試算値である。
 (3)  注文の受付に掛かる時間は1件当たり平均8分である。


A B C D E F G H I
1
現状のデータ 施策実施後の試算値
2 時間 受付件数
(件)
オペレーター数
(人)
受付件数
(件)
オペレーター数
(人)
3
西 合計 西 合計
4 9:00〜 40 38 78 6 6 12 82 11
5 10:00〜 44 42 86 6 6 12 91 13
6 11:00〜 42 40 82 6 6 12 87 12
7 12:00〜 62 60 122 9 8 17 129 18
8 13:00〜 68 68 136 10 10 20 143 20
9 14:00〜 66 76 142 9 11 20 150 20
10 15:00〜 74 84 158 10 12 22 166 23
11 16:00〜 88 82 170 12 11 23 179 24
12 17:00〜 86 88 174 12 12 24 183 25
13 18:00〜 80 80 160 11 11 22 168 23
14 19:00〜 78 76 154 11 11 22 162 22
15 20:00〜
21:00
76 74 150 11 10 21 158   a  
16 合計 804 808 1612 113 114 227 1698
注記 行16のオペレーター数の合計値は、時間別のオペレーター数の延べ人数である。
網掛けの部分は表示していない。
図1 時間別の電話受付数とオペレーター数

 ア  20  イ  21  ウ  22  エ  23

[マネジメント]
 問87  電話受付センタのオペレーターの勤務形態は、図2に示すように勤務時間によって四つのパターンに分けられている。
Yさんは、電話受付センタを集約することによって削減可能なオペレーターの人数を試算することにした。
表1のように、電話受付センタ集約後に時間帯A〜Dの各時間帯で最低限必要な人数を設定したとき、オペレーターに掛かる費用を最小化するために考慮すべき条件として、適切でないものはどれか。
[前提]
 (1)  オペレーター1人に掛かる費用は、“時間給×勤務時間”で算出する。
 (2)  オペレーターの時間給は、どの勤務パターンでも同じである。
 (3)  どの勤務パターンでも最低1人はオペレーターがいるものとする。

時間帯A 時間帯B 時間帯C 時間帯D
時間 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
勤務パターン1 P1
勤務パターン2
P2
勤務パターン3

P3
勤務パターン4


P4
勤務中のオペレーターの人数 P1 P1 + P2 P1 + P2 + P3 P2 + P3 + P4
注記 P1〜P4は勤務ターンごとのオペレーターの人数である。
パターンごとの網掛けした枠は、勤務時間帯を示す。
図2 勤務時間別のパターン一覧

表1 時間帯別の最低必要人数
時間帯A 時間帯B 時間帯C 時間帯D
最低必要人数 Q1 Q2 Q3 Q4
注記 Q1〜Q4は時間帯別の最低必要人数である。

 ア  P1〜P4は1以上であること
 イ  Q1〜Q4の合計よりもP1〜P4の合計が大きいこと
 ウ  勤務パターンごとの“時間給×勤務時間×人数”の総和が最小になること
 エ  時間帯別の勤務中のオペレーターの人数は最低必要人数を満足すること

[ストラテジ]
 問88  M社で計画している特売コーナでは、放送時間の中で紹介できる商品が2種類に限定されるので、商品A〜Dの中から利益を最大化する組合せを選定する必要がある。
そこでYさんは、各商品に関する1日当たりの販売可能な数量、1個当たりの利益及び1時間当たりの予想注文数を示す表2を、販売部門から入手した。
特売コーナで紹介した商品は、この番組の放送終了後から2時間以内に限り注文を受け付けることにしたとき、利益を最大化する商品の組合せはどれか。
表2 候補商品の数量と利益
商品名 1日当たりの販売可能な数量 1個当たりの利益
(万円)
1時間当たりの予想注文数
A 90 1 60
B 50 2 40
C 40 3 20
D 25 4 10

 ア  商品Aと商品B  イ  商品Aと商品D
 ウ  商品Bと商品C  エ  商品Cと商品D


答え 問85 イ 問86 ウ 問87 イ 問88 ウ


解説

 問85
 ア  同じ内容のデータをCD-RとUSBメモリの2種類の媒体で受領した。
データ管理簿には2種類の媒体を受領したことを記録するのは、適切です。
 イ  受領したデータでは想定した使用目的を果たすことができないことが分かったので返却した。
データを使用する前でも受領したことをデータ管理簿に記録しないといけません。
 ウ  受領したデータを、データ管理簿に記載した使用目的以外の目的に変更して使用することになったので、一旦データを返却し、再度同じデータを受領してデータ管理簿に記録するのは、適切です。
 エ  データを追加で取得依頼したが、不要となったので受領前に依頼を取り消し、データ管理簿に記録しないのは適切です。
 問86  オペレーターの人数を求める計算式は『受付件数×8分÷60分』で、小数点以下を切り上げです。
したがって
 158×8分÷60分 = 21.066…→22
(ウ)になります。
 問87
 ア  P1〜P4は1以上であることは、適切です。
 イ  Q1〜Q4の合計よりもP1〜P4の合計が大きいとは限りません
 ウ  勤務パターンごとの“時間給×勤務時間×人数”の総和が最小になることは、適切です。
 エ  時間帯別の勤務中のオペレーターの人数は最低必要人数を満足することは、適切です。
 問88  番組終了後の受け付け開始から2時間で得られる利益は以下のようになっている。
商品名 1日当たりの販売可能な数量 1個当たりの利益
(万円)
1時間当たりの予想注文数 2時間で得られる利益
(万円)
A 90 1 60 90
B 50 2 40 100
C 40 3 20 120
D 25 4 10 80
したがって、利益を最大化にする商品の組合せは商品Bと商品C(ウ)になります。


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