システム統合時のデータ移行作業に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。
小売業のP社では、MとSの二つのブランド商品を販売しており、ブランドごとに販売管理システムが別々に稼働している。
P社では、販売業務の効率を向上するために、ブランドSの販売管理システムの顧客データをブランドMの販売管理システムに移行して、統合した上で稼働させる方針を立てた。このために移行プロジェクトが発足した。
Aさんはこのメンバーに選ばれ、他のメンバーと協力して二つの販売管理システムを調査して、統合に必要な作業としてM1〜M4、S1〜S4を洗い出した。
その後、作業ごとの依存関係を検討し、図1に示す移行作業のアローダイアグラムを作成した。
注記 |
M1〜M4の矢印はブランドMの販売管理システムで実施する作業を、
S1〜S4の矢印はブランドSの販売システムで実施する作業を表す。
点線の矢印はダミー作業を表す。
( )内の数値は各作業に要する時間を表す。 |
図1 移行作業のアローダイアグラム |
[マネジメント]
問97 |
図1の移行作業のアローダイアグラムに基づいて作業を実施すると、移行作業は最短では何時間で終了するか。
ア |
9.5 |
|
イ |
11.0 |
|
ウ |
12.0 |
|
エ |
14.0 |
|
|
[マネジメント]
問98 |
移行プロジェクトでは移行作業で考えられるリスクを洗い出し、発生確率の大きなリスクに対しては対策を講じることにした。
Aさんは複数のリスクから発生確率が大きな四つのリスクW〜Zを選び、発生確率、低減できる影響額及び影響額を低減するための対策に要するコストを表1にまとめ、その上で次に示す[移行プロジェクトでまとめた優先順位付けの指針]を基に、対策の優先順位を付けることにした。
aに入れる適切な優先順位はどれか。
ここで、優先順位には高いものから順に1〜4を記入する。
[移行プロジェクトでまとめた優先順位付けの指針]
(1) |
低減できる影響額に発生確率を乗じた値から、対策に要するコストを減じた値の大きなものを優先する。 |
(2) |
(1)で求めた値が閉じであれば、対策に要するコストが小さいものを優先する。 |
|
表1 リスクの発生確率、低減できる影響額及び対策によするコスト
リスク |
発生確率 |
低減できる影響額 |
対策に要するコスト |
優先順位 |
W |
0.3 |
500 |
50 |
a |
X |
0.2 |
1,000 |
100 |
|
Y |
0.1 |
3,000 |
200 |
|
Z |
0.1 |
5,000 |
200 |
|
注記 網掛け部分は、表示していない。 |
|
|
[マネジメント]
問99 |
移行プロジェクトで作成した図1に示す移行作業のアローダイアグラムに対して、Aさんは次の指摘を受けた。
[Aさんが受けた指摘]
(1) |
M4の最後に移行作業の完了判定を行い、正しく完了しなかった場合、バックアップ媒体から移行作業前の状態に復旧して業務を継続する。
この復旧作業には4.0時間を要する。 |
(2) |
復旧作業を合わせて、当初の作業時間内に収める必要がある。 |
|
そこで、復旧作業の時間を確保するために、各作業の担当者にインタビューを実施し、対策案とその効果を検討した。
表2に対策案1〜4に対する作業時間短縮効果を示す。
次の記述中のb、cに入れる適切な組合せはどれか。
復旧作業の時間を確保するための対策案の組合せは、 b と c である。
表2 対策案1〜4に対する作業時間短縮効果
対策案 |
効果 |
1 |
S1の作業時間が1/4になる。 |
2 |
S3の作業時間が0に、M3の作業時間が3.0時間になる。 |
3 |
M1の作業時間が1/4になる。 |
4 |
M4の作業時間が1/2になる。 |
|
|
b |
c |
ア |
対策案1 |
対策案2 |
イ |
対策案1 |
対策案4 |
ウ |
対策案2 |
対策案3 |
エ |
対策案3 |
対策案4 |
|
|
[テクノロジ]
問100 |
Aさんは、ブランドMの販売管理システムの顧客テーブルに統合した顧客データの件数を、移行作業が正しく完了したことを判定する基準の一つに用いることにした。
そこで移行作業前のそれぞれの販売管理システムを調査し、次の結果を得た。
移行作業後の顧客データは何件になるか。
(1) |
ブランドSの顧客テーブルには、2,000件の顧客データが登録されている。 |
(2) |
ブランドMの顧客テープルの顧客コードは0〜9までの数字で構成された6桁の文字列で、6桁目がチェックデジットである。
現在、顧客コードの観点から登録可能なデータ件数の、5%が登録されている。 |
(3) |
ブランドMの顧客テーブルに登録されている件数の10%はブランドSの顧客テーブルにも登録されているので、ブランドSの顧客テーブルからこの顧客データは移行しない。 |
ア |
6,500 |
|
イ |
7,000 |
|
ウ |
51,500 |
|
エ |
52,000 |
|
|
答え 問97 エ 問98 イ 問99 イ 問100 ア
【解説】
問97 |
アローダイアグラムからもっとも時間のかかる経路(クリティカルパス)を探すと、S1→S2→S3→M3→M4になり、その時間は総和なので
2.0 + 3.0 + 2.0 + 2.0 + 5.0 = 14.0
(エ)になります。 |
問98 |
低減できる影響額に発生確率を乗じた値から、対策に要するコストを減じた値(X)を求めて、順位を付けると
リスク |
発生確率 |
低減できる影響額 |
対策に要するコスト |
X |
優先順位 |
W |
0.3 |
500 |
50 |
100 |
2 |
X |
0.2 |
1,000 |
100 |
100 |
3 |
Y |
0.1 |
3,000 |
200 |
100 |
4 |
Z |
0.1 |
5,000 |
200 |
300 |
1 |
(イ)になります。
|
問99 |
(問97で求めた)クリティカルパスから、4.0時間短縮する対策の組合せを探すと
対策案 |
効果 |
1 |
S1の作業時間が1/4になる。 |
4 |
M4の作業時間が1/2になる。 |
(イ)になります。 |
問100 |
ブランドMの登録されたデータ件数は、6桁の数字で1桁がチェックデジットなので、実質的には5桁なので、00000〜99999の10万件あり、そのうちの5%が登録済みなので、5,000件です。
この、5,000件のうち10%の500件はブランドSにも登録されているので、移行作業後の顧客データ件数は
5,000 + 2,000 - 500 = 4,500
(ア)になります。 |
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