平成27年 春期 ITパスポート 中問B

製品の改良プロジェクトに関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。

工作機械メーカーのX社は、競合メーカーとの差別化を目的として、現在製造している製品Zの改良を決め、製品Zの改良プロジェクト(以下、Zプロジェクトという)を発足した。
製品開発課に勤務するAさんはZプロジェクトのメンバーに選ばれ、先輩のBさんからZプロジェクトの状況、及びZプロジェクトのリスク(以下、リスクという)に関する説明を受けた。

[Zプロジェクトの状況]
 (1)  過去に行った同一規模のプロジェクトと比べて、プロジェクトメンバーは同数だが、期間は半分で計画している。
 (2)  改良する機能の取りまとめ作業は、製品企画課が担当し、完了している。
 (3)  現行の製品Zの部品や組み込まれているソフトウェアは、できるだけ流用することにした。
流用対象の抽出は終了している。
 (4)  新たに開発する部品は、現行の製品Zを開発したメンバーが担当する。
 (5)  新たに開発するソフトウェアは、開発経験の浅いメンバーが担当する。

[リスクに関する説明]
 (1)  リスクとは、プロジェクトを遂行するときに発生する、納期、費用、品質に影響を与える様々な事象のことである。
 (2)  リスクが発生する確率や影響の大きさはプロジェクトごとに異なり、それらは遂行過程で変化する。

Aさんは[Zプロジェクトの状況]の(5)に、影響の大きなリスクが存在するので、試作機の品質試験に間に合わせるために、特にスケジュール管理が重要であると考え、Bさんに相談した。
そこで、ソフトウェアを開発するメンバーから図1に示すアローダイアグラムを提出してもらった。
しかし、開発スケジュールが遅れた場合のリスクが考慮されていないことに気付き、何らかの対策が必要と考えた。


図1 ソフトウェア開発のアローダイアグラム

[マネジメント]
 問89  図1に示すソフトウェアの開発は、遅延が発生しないと仮定すると最短何日で完了するか。
 ア  35  イ  40  ウ  45  エ  65

[マネジメン]
 問90  Aさんは、[Zプロジェクトの状況]の(5)が、プロジェクトが失敗する原因になりかねないと考え、開発に先立ち、その予防策を講じることにした。
予防策の一つとして、適切なものはどれか。
 ア  過去に行ったプロジェクトのスケジュールを参考にして、今回のZプロジェクトのスケジュールを作成する。
 イ  現行製品から流用できるソフトウェアの設計書を集める。
 ウ  製品Zの改良後の機能と競合メーカーの類似製品の機能を比較したリストを作成する。
 エ  ソフトウェア開発メンバーに対して、不足しているソフトウェア開発技術を教育する。

[マネジメン]
 問91  Aさんは[Zプロジェクトの状況]の(5)が、開発スケジュールの遅延の原因になると考え、回避策を実施しないときの遅延の予測回数、及び回避策の費用を次の表にまとめた。
それぞれの遅延が発生する可能性があるとした場合、回避策を実施して、図1のソフトウェア開発の最短日数で予定どおりに完了させるために必要な最低限の費用は何万円か。
遅延の予測日数 回避策の費用
作業1 +5日 25万円
作業2 +3日 15万円
作業3 +2日 15万円
作業4 +2日 5万円
 ア  30  イ  35  ウ  45  エ  60

[マネジメン]
 問92  AさんはBさんから、[Zプロジェクトの状況]の(5)以外にも、影響の大きなリスクが存在するかどうか、検討するように指示を受けた。
[Zプロジェクトの状況]の(1)〜(4)のうちで、影響の最も大きなリスクが存在する項目はどれか。
 ア  (1)  イ  (2)  ウ  (3)  エ  (4)


答え 問89 ウ 問90 エ 問91 イ 問92 ア


解説

 問89  図1のアローダイアグラムから、@からDに至る経路は“@→A→C→D”と“@→A→B→C→D”があり、それぞれの所要日数は“@→A→C→D”が35日、“@→A→B→C→D”は45日なので、このソフトウェアの開発の所要日数は長いほうの“@→A→B→C→D”は45日(ウ)になります。
 問90  [Zプロジェクトの状況]の(5)は「新たに開発するソフトウェアは、開発経験の浅いメンバーが担当する」ことで知識や経験の不足による技術的な課題の解決力の不安が考えられる為、予防策としてはソフトウェア開発メンバーに対して、不足しているソフトウェア開発技術を教育する(エ)になります。
 問91  ソフトウェア開発の所要日数を決めている作業の順は“@→A→B→C→D”であり、作業1は作業2と作業3の所要日数の和である30日を超えなければ全体の所要日数には影響しないので、回避策を実施するのは作業2、作業3、作業4になるので、回避策の費用は35万円(イ)になります。
 問92  [Zプロジェクトの状況]の(1)〜(4)を見ると、(2)(3)(4)は終了していたり、経験のある担当者が割り当てらっれているためリスクは低いと考えられ、リスクの高いのはこれまでのプロジェクトと異なる「過去に行った同一規模のプロジェクトと比べて、プロジェクトメンバーは同数だが、期間は半分で計画している」の(1)(ア)になります。


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