H30 技術士(情報工学)ソフトウェア工学 II-2-2:ベースラインとバリアンス


(1)ベースライン設定の留意点
ソフト開発プロジェクトの管理ではコスト、スケジュール、品質などを管理する必要があり、管理を行うためには計画を立て、プロジェクトの進行に合わせて計画との差を把握する必要がある。そのため、計画段階で基準となるベースラインを作成する。ベースラインを設定するときには、実施する作業を管理しやすい大きさまで細分化する。また、計画との差の管理を容易にするために抽象的な形ではなく具体的な数値で行うのがよい、そのため数値化しやすいコストやスケジュールだけではなく、数値化しにくい品質も数値化する。例えば各作業項目を難易度や複雑度でランク付けしランクに合わせて要員を割り当てるなどして品質の問題が起きづらい状態にする。

(2)バリアンスの確認方法と留意点
計画との差異であるバリアンスの確認もベースラインの設定時と同じように、各作業が完了した段階でコストやスケジュール、品質を数値化してベースラインとの差を具体的な数字でまとめる。バリアンスの確認で問題となるのは実施中で完了していない作業であるがこれについてはだいたい何%くらいまで進んでいるのでコストスケジュールはこれくらいといったようにするのではなく、完了していないものは0とするや一律50%とするなどルールを予め決めておく必要がある。
また、バリアンスの確認はプロジェクトの全体に影響を与えるクリティカルパスのある作業について重点的に行うようにする。全ての作業に対しレベルの高いチェックを行うのが望ましいが、マネジメントに充てられる時間もリソースも限りがあるので、重要なものに注力するのは当然のことである。

(3)バリアンス対応
バリアンスが発生した場合にはその差をなくすような対応を必要がある。例えばある作業で遅延が発生した場合には、遅延が伝搬しないように遅延の原因を分析し、適切な対策を行う必要がある。特に遅延が発生したので安易に要員を追加という方法だけでなく、原因に合った対策を行う必要がある。遅延の原因は作業の量が問題ではなく、作業の難易度の見積が甘かったことが理由だったり、前工程の品質の悪さが影響して計画より時間がかかることも多いので、根本の原因を正しく把握しそれに合った対策を行う必要がある。
また、計画より早く作業が終わった場合には、作業の難易度が計画より低いのではないかを確認し、場合によっては同様な作業については担当させる要員のレベルを下げ、技術レベルの高い要員はより高度な作業を担当させるなどする。また、作業準を考慮してプロジェクト全体を前倒し、スケジュールのマージンを確保するようにする。


[Intermission]
プロジェクトの計画(ベースライン)と実施時の差(バリアンス)についての問題です。
これもプロジェクトマネージャ試験であれば準備しているような内容ですね。
この年のソフトウェア工学の試験はプロジェクトマネージャ見たいでしたね。



戻る 一覧へ