平成27年 春期 ITパスポート 中問A
ICカードによる入退室管理に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。
P社は、セキュリティを確保するために自社ビルを10の区画に分け、各区画への入退室をICカードで行うシステムを導入し、その管理方法についての検証を始めた。
このICカードを使った入退室管理(以下、入退室管理という)の概要は次のとおりであり、入退室管理で用いるデータベースの構造(一部)を図1に示す。
[入退室管理の概要] |
(1) |
社員は一つの部署に所属し、ICカードを1人1枚貸与される。
ICカードはカード固有のICカード番号をもつ。ICカードの情報はICカード登録表に登録される。 |
(2) |
社員の入退室が許可されている区画は個別に決められており、許可された区分の情報が入退室許可表に登録される。
入退室が可能な場合で、その区画が所属部署の入っている区画の場合は“1”、それ以外で入退室が必要と認められた区画の場合は“2”が、入退室許可表の許可区分に登録される。 |
(3) |
各区画にはICカードリーダーが設置されており、入退室が許可されたICカード番号を読み取ったときだけドアを解錠し、入退室の記録を入退室記録表に記録する。
このとき、入室の場合は“1”、退室の場合は“-1”を入退室記録表の入退室区分に記録する。 |
なお、P社は、社員に対して午前0時までに退社することを義務づけている。
ICカード登録表
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入退室許可表
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入退室記録表
入退室年月日 |
入退室時刻 |
ICカード番号 |
区画番号 |
入退室区分 |
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図1 入退室管理で用いるデータベースの構造(一部) |
[テクノロジ]
問85 |
ICカードリーダーでICカード番号を読み込んだときに、入室の可否を判断するためには、データベース中の幾つかの表を調べる必要がある。
調べる表とその順番として、適切なものはどれか。
ここで、→は表を参照する順番を示している。
なお、社員は1人ずつICカードを使って入退室することになっている。
ア |
ICカード登録表→入退室許可表 |
イ |
ICカード登録表→入退室記録表→入退室許可表 |
ウ |
入退室記録表→ICカード登録表→入退室許可表 |
エ |
入退室記録表→入退室許可表 |
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[テクノロジ]
問86 |
入退室許可表のレコードを一意に決めるための主キーとして、適切なものはどれか。
ここで、下線は主キーを表す。
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[テクノロジ]
問87 |
P社では、一度の解錠で同時に複数の社員が入退室することがあり、入室と退室の記録の数が合わないという問題が発生していることが分かった。
そこで、毎日、入退室記録表を使って、前日の入退室の回数が一致しない社員がいないかどうかを確認することにした。
次に示す入退室確認では、前日の日付で、同一区画での入室と退室の回数が一致していないICカード番号を調べる手順を示している。
a、bに入れる字句の適切な組合せはどれか。
[入退室管理の概要] |
(1) |
入退室年月日が前日の日付であるレコードを全て取り出し、ICカード番号の昇順で、かつ、区画番号の同じレコードが並ぶように整列する。 |
(2) |
(1)で整列したレコードに対して、ICカード番号と区画番号が同じレコードごとに、それらの a し、その結果の値とICカード番号及び区画番号とを併せて表として記録する。 |
(3) |
(2)で記録した a した値が b ICカード番号と区画番号を出力する。 |
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a |
b |
ア |
区画区分が1の場合は1を加算し、2の場合は2を加算 |
奇数である |
イ |
入退室区分の値を合計 |
0でない |
ウ |
入退室時刻の入室と退室の時刻差を合計 |
24時間を超える |
エ |
レコードの個数を計数 |
偶数である |
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[テクノロジ]
問88 |
入退室管理で用いるデータベースを使って、入退室に関する調査を行うことにした。図1の三つの表のデータを使って行うことができる調査はどれか。
ア |
1日ごと区画ごとでの社員の入室と退室の記録回数が一致しない原因別に社員数を集計し、最も多い原因を特定する。 |
イ |
一度の解錠で同時に複数の社員が入退室することで、入室と退室の記録回数が一致しなかった社員について、他のどの社員の入室又は退室のときに、一緒に入ったかを調べる。 |
ウ |
各部署に所属する社員が、各区画に入室した回数を、月ごとに集計する。 |
エ |
入室が許可されていない区画への社員の入室の回数を、1日ごと区画ごとに集計する。 |
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答え
問85 ア 問86 イ
問87 イ 問88 ウ
【解説】
問85 |
入室時の処理は
- ICカードからICカード番号の読込み、ICカードリーダーから区画番号を取得する。
- ICカード登録表から読み込んだICカード番号の(社員)情報を取り出す。
- 入退室許可表から社員番号と区画番号の許可区分を確認する。
になるので、データベースをICカード登録表→入退室許可表(ア)の順で確認します。 |
問86 |
入退室許可表は社員番号と区画番号の組合せで許可区分を決めているので、主キーは“社員番号”と“区画番号”(イ)になります。 |
問87 |
入退出記録表の入退室区分は入室が“1”、退室が“-1”なので、正しく入退室を行うと入退室区分の合計値は0になるはずであり、入退室時にカードパスを正しく行わなかった場合は合計値が0以外になっているので、a、bに入るのは
になります。 |
問88 |
ア |
この3つのデータベースの表から、1日ごと区画ごとでの社員の入室と退室の記録回数が一致しない原因を抽出(特定)することはできません。 |
イ |
一度の解錠で同時に複数の社員が入退室することで、入室と退室の記録回数が一致しなかった社員については、データベースに記録が残っていないので、他のどの社員の入室又は退室のときに、一緒に入ったかを調べることはできません。 |
ウ |
このデータベースの表から、各部署に所属する社員が、各区画に入室した回数を、月ごとに集計することは可能です。 |
エ |
システムが正常に動作していれば、入室が許可されていない区画への社員の入室の記録がデータベースに記録されることはないので、回数を1日ごと区画ごとに集計することはできません。 |
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