2023年 春期 応用情報技術者 午前 問10

キャッシュメモリへの書込み動作には、ライトスルー方式とライトバック方式がある。 それぞれの特徴のうち、適切なものはどれか。

 ア  ライトスルー方式では、データをキャッシュメモリだけに書き込むので、高速に書込みができる。
 イ  ライトスルー方式では、データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので、主記憶の内容は常に最新である。
 ウ  ライトバック方式では、データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので、速度が遅い。
 エ  ライトバック方式では、読出し時にキャッシュミスが発生してキャッシュメモリの内容が追い出されるときに、主記憶に書き戻す必要が生じることはない。


答え イ


解説
キャッシュメモリのライトスルー方式とライトバック方式は以下のようになっています。

  • ライトスルー方式
    ライトスルー方式は、書き出し時にキャッシュメモリと主記憶の両方に行うため、データの内容が一致しているので扱いが容易であるが、書き出し時に都度主記憶へのアクセスが発生するため、アクセスの高速化という意味では不利な方法である。
  • ライトバック方式
    ライトバック方式は、書き出しを行う主記憶の領域がキャッシュメモリにある限り、キャッシュメモリの書き換えだけで行うので、高速な書き出しが可能である。
    ただし、キャッシュメモリと主記憶の内容に差が発生するため、CPUを介しない主記憶のアクセスを行うDMA(Direct Memory Access)などを行うとデータの内容が正しくないことがあるため、DMAなどを使用する前にキャッシュメモリのデータを主記憶に書き出す処理を行う必要がある。
 ア  ライトスルー方式では、データをキャッシュメモリと主記憶の両方に書き込むので、書き込みはライトバック方式に対して低速です。(×)
 イ  ライトスルー方式では、データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので、主記憶の内容は常に最新である。(〇)
 ウ  ライトバック方式では、データをキャッシュメモリにだけに書き込むので、速度はライトスルー方式に比べが高速です。(×)
 エ  ライトバック方式では、読出し時にキャッシュミスが発生してキャッシュメモリの内容が追い出されるときに、主記憶に書き戻す必要があります。(×)


キーワード
・キャッシュメモリ

キーワードの解説
  • キャッシュメモリ(cache memory)
    CPU内にある高速アクセス可能なメモリで、主記憶のデータの中からアクセス頻度が高いデータを、一時的に格納することで、CPUから主記憶のアクセスをキャッシュメモリに代えることで、メモリへのアクセス速度を上げ、処理速度を向上させる。
    キャッシュメモリに格納するデータには、プログラムそのものである場合(命令キャッシュ)と、プログラムが使用するデータである場合(データキャッシュ)がある。

もっと、「キャッシュメモリ」について調べてみよう。

戻る 一覧へ 次へ