PCのデータ保護に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。
Sさんは、自宅で使用しているPC(以下、現PCという)に保管していた全ての画像ファイルを誤って削除してしまった。
現PCは4か月前に買い替えたものである。以前に使っていたPC(以下、旧PCという)に、削除したファイル数の6割が残っていたので、それらを全て現PCにコピーした。
Sさんが保管していた画像ファイルの概要と、削除した画像ファイルの復旧方法は、次のとおりである。
[画像ファイルの概要]
Sさんの現PCには、デジタルカメラで撮った画像ファイルが保管されていた。
一つの画像ファイルの大きさは2Mバイトで、画像編集などはせずに、毎月200ファイルずつ追加していた。
誤って削除した時には、2,000ファイルを現PCに保管していた。
[削除した画像ファイルの復旧方法]
Sさんは、使い慣れている無線LAN機能付きのルータを介して現PCと旧PCを図1のように接続し、旧PCに保管していたファイルを現PCにコピーした。
ルータには、無線LANを識別するためのESSIDとIPアドレスを設定した。
図1 ルータを介した旧PCと現PCの接続
Sさんは、画像ファイルを復旧した後に、現PCに保管している画像ファイルをバックアップしておく必要性を感じて調査を行った。
その結果、表1に示すバックアップの種類があることが分かった。
そして、バックアップを月に1回実施することにした。
表1 バックアップの種類
バックアップ方法 |
内容 |
完全バックアップ |
バックアップの対象とした全てのファイルを保管 |
差分バックアップ |
前回の完全バックアップの後に、追加、変更されたファイルを保管 |
増分バックアップ |
初回の増分バックアップは、前回のバックアップの後に、追加、変更されたファイルを保管
次回以降の増分バックアップは、直前の増分バックアップの後に、追加、変更されたファイルを保管 |
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[テクノロジ]
問89 |
Sさんが、現PCと旧PCを無線LANに接続してファイルをコピーするとき、現PCと旧PCに設定されているESSIDと自IPアドレスの組合せとして、適切なものはどれか。
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現PC |
旧PC |
ESSID |
自IPアドレス |
ESSID |
自IPアドレス |
ア |
A0B1C2D3E4 |
192.168.0.1 |
A0B1C2D3E4 |
192.168.0.1 |
イ |
A0B1C2D3E4 |
192.168.0.2 |
A0B1C2D3E4 |
192.168.0.3 |
ウ |
A0B1C2D3E5 |
192.168.0.1 |
A0B1C2D3E6 |
192.168.0.1 |
エ |
A0B1C2D3E5 |
192.168.0.2 |
A0B1C2D3E6 |
192.168.0.3 |
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[テクノロジ]
問90 |
旧PCに保管してある画像ファイルを現PCに転送するのに要した時間は何分か。
ここで、Sさんが使用している無線LANのPCとルータ間の伝送速度は40Mbpsで、伝送効率は20%であり、旧PCとルータ間の通信と現PCとルータ間の通信は同時にはできない。
また、ファイルの転送以外のオーバヘッド時間は無視できるものとする。 |
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[テクノロジ]
問91 |
Sさんは、画像ファイルを復旧した後に、現PCに保管している画像ファイルを月に1回USBメモリにバックアップするために、8Gバイトの容量のある空のUSBメモリを用意した。
次の[バックアップ方法]によって、このUSBメモリにバックアップできるのは、完全バックアップを実施してから何か月後のバックアップまでか。
ここで、画像ファイルの増え方はこれまでと変わらないものとする。
また、USBメモリ内のファイル管理領域は無視できる大きさであるとする。 |
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[バックアップ方法]
(1) |
USBメモリにバックアップした日が分かるような名前を付けたフォルダを作成して、その中に復旧した画像ファイルを完全バックアップする。 |
(2) |
1か月経過するごとに、USBメモリにバックアップした日が分かるような名前を付けたフォルダを作成して、その中に画像ファイルを増分バックアップする。 |
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[テクノロジ]
問92 |
Sさんは、現PCに保管した画像ファイルに色調補正などの加工をすることにした。
加工作業のミスなどに備えて、バックアップツールを利用して、毎年4月1日に完全バックアップを実施し、毎月の1日に差分バックアップを実施する。
差分バックアップは3回分を保管している。
ある年において、画像ファイルXに対して表2のとおりに加工作業を行ったとき、加工後の各画像ファイルXのうち、この年の6月3日に、バックアップから復旧できないものは、どの作業で加工したものか。 |
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表2 加工作業
加工作業 |
作業日 |
作業a |
3月20日 |
作業b |
4月3日 |
作業c |
4月10日 |
作業d |
5月5日 |
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答え 問89 イ 問90 ウ 問91 ウ 問92 イ
【解説】
問89 |
旧PC、現PCにはルータと同じESSID、自IPアドレスはルータとちがうユニークな値を設定する必要があります。
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現PC |
旧PC |
ESSID |
自IPアドレス |
ESSID |
自IPアドレス |
イ |
A0B1C2D3E4 |
192.168.0.2 |
A0B1C2D3E4 |
192.168.0.3 |
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問90 |
ルータとPC間の伝送速度は40Mbps、伝送効率は20%で、転送するファイルは2Mバイトのファイルが2,000個で、その6割が残っていて、旧PCとルータ間、ルータと現PC間の通信が同時にできないので、時間を求める式は以下のようになり、
2Mバイト×2,000個×6割×2÷( ( 40Mbps×20% )÷8bit/バイト ) = 4,800秒 ≒ 80分
(ウ)になる。 |
問91 |
最初のバックアップでは残ってた2Mのファイルの2,000個の6割になり、毎月2Mファイルが200個増えるので、USBメモリがいっぱいになる月数は
( 8Mバイト - 2Mバイト×2,000個×6割 )÷(2Mバイト×200個) = 14か月
(ウ)になる。 |
問92 |
4月1日に完全バックアップを行うので、4月1日以前に修正(加工)されたファイル(作業a)は復旧可能である。
また、毎月1日に差分バックアップを行い3回分の差分バックアップが保管されているので6月3日の時点では6月1日、5月1日、4月1日で、6月1日の差分バックアップには5月5日の作業d、5月1日の差分バックアップには4月10日の作業c、4月1日は完全バックアップなので、保管されていないファイルは4月3日に加工した作業b(イ)になる。 |
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