平成27年 秋期 ITパスポート 中問A

アンケートの集計と分析に関する次の記述を読んで、四つの問いに答えよ。

眼鏡販売T社の店舗では、顧客満足度を評価して改善策を立案するために、購入者にアンケートを実施した。
アンケートの内容は表1のとおりで、それぞれ、満足を5、やや満足を4、普通を3、やや不満を2、不満を1とする5段階評価で回答を求めた。

表1 アンケートの内容
項目番号 質問項目 質問内容
1 店舗 店舗や設備の清潔さなどの環境について
2 接客・サービス 接客態度やサービスについて
3 案内・パンフレット 店の案内やパンフレットについて
4 技術・仕上がり 技術や仕上がりについて
5 価格 価格の適切さについて
6 総合評価 総合的な満足度について

回答が得られたアンケート200人分について、回答の集計と分析を行うために、表計算ソフトを用いて図1のワークシートを作成した。
ここで、アンケート集計表は、アンケートの1人分を1行のデータとして入力した一覧表であり、セル B204〜F204 には各列の質問項目に対する評価と総合評価との関連性の強さを示す相関係数を求めて表示している。
また、評価集計表は、各質問項目についての評価1〜5ごとの度数を表示している。


A B C D E F G
1 アンケート集計表
2 通番 店舗 接客・サービス 案内・パンフレット 技術・仕上がり 価格 総合評価
3 1 3 4 3 4 3 4
4 2 3 5 2 3 4 4
5 3 2 5 3 4 4 4
201 199 3 4 3 5 3 4
202 200 2 3 2 3 3 4
203 評価平均 2.8 3.7 2.6 3.4 3.1 3.5
204 相関関係 0.60 0.72 0.17 0.31 0.40
205 評価集計表
206
207 評価 店舗 接客・サービス 案内・パンフレット 技術・仕上がり 価格 総合評価
208 5 7 47 6 42 3 12
209 4 31 70 15 46 61 97
210 3 85 67 92 72 104 81
211 2 71 13 75 39 26 8
212 1 6 3 12 1 6 2
213 合計 200 200 200 200 200 200
図1 アンケートの集計表と評価集計表のワークシート

[テクノロジ]
 問85  図1の評価集計表のセルB208には、該当する度数を表示する式が入力されている。
セルB208に入力されている式はどれか。
ここで、セルB208の式は、セルB208〜G212に複写する。
 ア  条件付個数($B3:$B202, =A$208)
 イ  条件付個数($B3:$G, =$A3)
 ウ  条件付個数(B$3:B$202, =$A208)
 エ  条件付個数(B$3:G$3, =A$3)

[ストラテジ]
 問86  特定の質問項目の評価が低い顧客のアンケートを基にどのような傾向があるかを分析するために、図1のワークシートに、指定した質問項目の評価が2以下のアンケートだけを抽出するアンケート抽出表を追加して、図2のワークシートを作成した。
セルK204に質問項目の項目番号を入力すると、その質問項目の評価が2以下だったアンケートの内容をアンケート集計表から抽出し、アンケート抽出表中の同じ行に複写する。
アンケート抽出表中への抽出対象とならなかったアンケートに該当する行のセルには、空値を格納する。
セルJ3には、セルB3〜G3の評価のうち、セルK204に入力された項目番号に該当する質問項目の評価が2以下であれば、アンケート集計表のセルB3の評価を返し、そうでなければ空値を返す式が入力されている。
セルJ3に入力されている式はどれか。
ここで、セルJ3の式はセルJ3〜O202に複写する。

A B G H I J K L M N O
1 アンケート集計表 アンケート抽出表
2 通番 店舗 総合評価 通番 店舗 接客・サービス 案内・パンフレット 技術・仕上がり 価格 総合評価
3 1 3 4 1





4 2 3 4 2 3 5 2 3 4 4
5 3 2 4 3





201 199 3 4 199





202 200 2 3 200 2 3 2 3 3 3
203 評価平均 2.8 3.5
204 相関関係 0.60 項目番号 3 の評価が2以下のアンケートの抽出
205 評価集計表
206
207 評価 店舗 総合評価
208 5 7 12
209 4 31 97
210 3 85 81
211 2 71 8
212 1 6 2
213 合計 200 200
図2 アンケート抽出表を追加したワークシート
 ア  IF(表引き($B3:$G3, $K$204, 1)>2, B3, null)
 イ  IF(表引き($B3:$G3, $K$204, 1)>2, null, B3)
 ウ  IF(表引き($B3:$G3, 1, $K$204)≤2, B3, null)
 エ  IF(表引き($B3:$G3, 1, $K$204)≤2, null, B3)

[テクノロジ]
 問87  図1のアンケート集計表で評価平均が低い質問項目であった店舗及び案内・パンフレットの、いずれか一方又は両方に、やや不満又は不満と回答した顧客を対象にした追加アンケートを実施したい。
そこで、店舗の評価が2以下のアンケートを抽出して、そのうち案内・パンフレットの評価も2以下のものを数えたところ、その数は38人であった。
追加アンケートの対象者は何人か。
 ア  49  イ  126  ウ  162  エ  164

[ストラテジ]
 問88  相関係数は、一方が高くなれば他方も高くなるといった関連性がある場合には1以下の正の数で示され、1に近いほど関連性が強い。
したがって、図1のアンケート集計表の相関係数が大きい質問項目ほど、総合評価に与える影響が強いと考えられる。
また、アンケート集計表の評価平均では、各質問項目に対する顧客の現在の満足度を判断できる。
そこで、相関係数と評価平均を判断材料として、顧客の総合的な満足度を向上させるために改善すべき点を検討することを目的に、図3のグラフを作成した。
図3のグラフでは、相関係数を横軸、評価平均を縦軸とする座標で、アンケート集計表の質問項目1〜5の位置を示している。
また、相関係数は0.5を、評価平均は3.0を基準値とする線で四つの領域に区分し、質問項目1〜5が位置する領域によって改善の優先度を判断することにした。
図3を分析した内容として適切なものはどれか。

図3 アンケート項目の評価平均と相関関係のグラフ
 ア  案内・パンフレットは、評価平均が低く、総合評価との関連性が弱い領域にあるので、最優先で改善すべきである。
 イ  技術・仕上がりは、評価平均が高く、総合評価との関連性が強い領域にあるので、最優先で改善する必要はない。
 ウ  接客・サービスは、評価平均が高く、総合評価との関連性が弱い領域にあるので、現状維持でよい。
 エ  店舗は、評価平均が低く、総合評価との関連性が強い領域にあるので、最優先で改善すべきである。


答え 問85 ウ 問86 ウ 問87 イ 問88 エ


解説

 問85  セルB208の計算式はコピーすることを考えないと“条件付個数(B3:B202, =A208)”になり、これを左のセルB209にコピーしたときには“条件付個数(B3:B202, =A209)”、下のセルC208にコピーしたときには“条件付個数(C3:C202, =A208)”になるので、“B3:B202”は行を固定にする“B$3:B$202”、“A208”は列を固定する“$A208”になるので、セルB208に入る計算式は条件付個数(B$3:B$202, =$A208)(ウ)になる。
 問86  セルJ3の計算式はコピーすることを考えないと“IF(表引き(B3:G3, 1, K204)≤2, B3, null)”になり、これを左のセルK3にコピーしたときには“IF(表引き(B3:G3, 1, K204)≤2, C3, null)”になり、下のセルJ4にコピーしたときには“IF(表引き(B4:G4, 1, K204)≤2, B4, null)”になるので、“B3:G3”は列を固定する“$B3:$G3”、“K204”は行も列も固定する“$K$204”、“B3”は行も列も固定しないのでIF(表引き($B3:$G3, 1, $K$204)≤2, B3, null)(ウ)になる。
 問87  店舗の評価が2の数は71、1の数は6、案内・パンフレットの評価が2の数は75、1の数は12で、両項目の評価が2以下の数が38なので
 71 + 6 + 75 + 12 - 38 = 126
(イ)になる。
 問88  優先的に改善する項目は相関係数が大きく、評価平均の低いものになるので、店舗(エ)です。


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