平成18年 秋期 基本情報技術者 午前 問28

入出力処理が主体のタスクをタイプA、CPU処理が主体のタスクをタイプBとする。
マルチプログラミング環境で、同数のタイプAとタイプBのタスクを同時に実行する場合、システムのスループットが最も高くなることが期待できるスケジュール方式はどれか。

 ア  タイムスライス方式のスケジューリングを採用し、タイムクウォンタムはタイプAのタスクを長くし、タイプBのタスクを短くする。
 イ  タイムスライス方式のスケジューリングを採用し、タイムクウォンタムはタイプAのタスクを短くし、タイプBのタスクを長くする。
 ウ  優先度方式のスケジューリングを採用し、優先度はタイプAのタスクを高くし、タイプBのタスクを低くする。
 エ  優先度方式のスケジューリングを採用し、優先度はタイプAのタスクを低くし、タイプBのタスクを高くする。


答え ウ


解説
入出力を行うタイプAのタスクは動作するための準備に時間がかかり、準備ができたときだけ動作するのが良い。
CPU処理を行うタイプBのタスクはできるだけ多くの時間を割当てる必要があるが、他の処理の準備ができたときには中断する必要がある。

 ア  タイムスライス方式だと、タイプAの処理が定期的に動作するが、その時に動作する準備ができているかわからないため効率が悪い。
 イ  タイムスライス方式だと、タイプAの処理が定期的に動作するが、その時に動作する準備ができているかわからないため効率が悪い。
 ウ  普段(タイプAの準備中)はタイプBが動作し、タイプAの準備ができると優先度の低いタイプBの処理を中断し、優先度の高いタイプAの処理を行うので効率がよい。
 エ  タイプAが動作する準備ができても、タイプBの優先度が高いため、タイプAは動作することができない。


キーワード
・タスク
・スループット
・マルチプログラミング
・タイムスライス方式
・優先度方式

キーワードの解説
  • タスク
    プロセスやスレッドともいい、コンピュータ側から見た処理の単位。
  • スループット
    コンピュータやネットワークが一定時間で処理できるデータ量のことで、システムの性能の評価基準になる。
    この問題では一定時間で処理できるタスクの量(個数)が問われている。
  • マルチプログラミング
    複数のタスクを切替えながら並行して動作させること。
  • タイムスライス方式
    マルチプログラミングで一定の時間ごとにタスクを切り替える方法。UNIXやLinuxで採用されている。
    切替える単位の時間をタイムクウォンタムと呼ぶ。
    すなわち、各タスクは決められたタイムクウォンタム処理が行われると切り替わって他の処理が行われる。
  • 優先度方式
    各タスクに割当てた優先順位に基づいてタスクを切り替える方法で、µITRONなどリアルタイムOS(RTOS)で採用されている。
    処理中のタスクより優先度の高いタスクが動作する準備ができたときに、処理中のタスクを止めて、優先度の高いタスクを動作させることをプリエンプションと呼ぶ。

もっと、「タスク」について調べてみよう。

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