平成19年 春期 ソフトウェア開発技術者 午前 問53

図のTCP/IPネットワークにおいて、クライアントAをLAN1に接続するに当たって、サブネットマスクを、誤って255.255.0.0と設定してしまった。
このとき、クライアントAで発生する事象はどれか。
ここで、ADSLモデムはクライアントAにUSBで接続し、ほかの機器はサブネットマスクを正しく255.255.255.0と設定してあるとする。
また、ルータではプロキシARPは動作していないものとする。

 ア  ADSLモデムを経由してインターネットにアクセスできなくなる。
 イ  クライアントBと通信できなくなる。
 ウ  データベースDにアクセスできなくなる。
 エ  プリントサーバCに出力できなくなる。


答え エ


解説

 ア  クライアントAとADSLモデムはUSB接続であり、LANの設定値とは関係がないので、サブネットマスクの誤設定は影響しない。
 イ  クライアントAのIPアドレス(10.1.1.10)とクライアントBのIPアドレス(10.1.1.11)、設定したサブネットマスク(255.255.0.0)から、クライアントAはクライアントBが同じサブネットに接続していると判断する。実際にクライアントAとクライアントBは同じサブネットに接続されているので、通信は可能である。
 ウ  クライアントAのIPアドレス(10.1.1.10)とデータベースサーバDのIPアドレス(10.1.1.1)、設定したサブネットマスク(255.255.0.0)から、クライアントAはデータベースサーバDが同じサブネットに接続していると判断する。実際にクライアントAとデータベースサーバDは同じサブネットに接続されているので、通信は可能である。
 エ  クライアントAのIPアドレス(10.1.1.10)とプリントサーバCのIPアドレス(10.1.2.1)、設定したサブネットマスク(255.255.0.0)から、クライアントAはプリントサーバCが同じサブネットに接続していると判断する。しかし、実際には、クライアントAとプリントサーバCは同じサブネットに接続されていないので、ルータを経由した通信を行う必要があるが、クライアントAは直接通信を行おうとして通信できない。(クライアントAはプリントサーバCから出力できない。)
なお、プリントサーバCのサブネットマスクは正しい値が設定されているので、プリントサーバCからクライアントAへの一方的なデータ送信は可能である。(プリントサーバが、そんな通信を行うことはないが…)


キーワード
・サブネットマスク

キーワードの解説
  • サブネットマスク(subnetmask)
    インターネットやイントラネットなどで、一定の規模以上になると通信量(トラフィック)を分散するため、ネットワークを小さなネットワーク(サブネット)に分ける。
    サブネットマスクは、サブネットに割り当てたアドレスの有効範囲を定義する値であり、実際の通信では通信する相手が自分と同じサブネットに接続されているかどうかを判断するのに使用する。
    同じ、サブネットに接続している場合は、通信相手と直接通信できるが、異なったサブネットに接続している場合は、ルータを経由して通信を行う。
    この判断の方法は、自分のIPアドレスの値とサブネットマスク値の論理積(AND)の結果と、通信相手のIPアドレスの値とサブネットマスク値の論理積(AND)の結果を比較して、同じならば同じサブネットに接続されていて、異なっていれば違うサブネットに接続されていると判断する。

もっと、「サブネットマスク」について調べてみよう。

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